2020年度

コロナの時代 「学校教育とは何なのか」

下伊那教育会会長 三尾 利彦(高陵中)

新緑の空気が生き物すべての体を巡って命よみがえる時節となりました。この時期例年開催されます下伊那教育会総集会が、今年度は世界的な新型コロナウイルス感染拡大を受けて中止となりました。教育会始まって以来のことと思います。福井大学の松木健一先生にご講演の中止と今後の機会のお願いを申し上げましたところ、「日程が調整できるようでしたらお引き受けいたします。ただし、このウイルス騒動の中で、根本的に学校教育とは何なのか考えなければならなくなってしまい、何を語ればよいものなのか悩みもします。」とのお応えがありました。「学校教育とは何なのか」…と先生はお考えになっておられるようでした。確かに憲法で言う義務教育は「その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う」であって、学校教育とは書いていない。これは教育機会確保法の法的根拠になっているものだと思いますが、この普通教育を学校教育以外のどんな機会で確保し保障できるか。3年前に不登校に対して発せられたこの問いは、コロナの年、2ヶ月を優に超える休校中に推進される家庭学習やネット学習の中で、学校とは何か、教師とは何か、多様な学びとは何かを改めて問われる機会となりました。早く学校が平常通りに再開されることを願いつつも、この問いを実は教職員としての私たちは常に持ち続けなくてはいけないのではないかとも思います。

分散登校が開始され、普段の3分の1の子どもたちと授業をすることとなりました。一人一人の家庭学習の状況をチェックし学習をアドバイスする中で、ある若い先生は「一人一人を見ながらその子にあった指導を考えるようになった」と語ります。これは集団指導を見直し、自らやりたいことを見つけやりたいことができる「個に発し個に帰る学び」への気づきかもしれません。

下伊那教育会の教科等研究部は、教職員の資質向上をめざす本会の中核であります。本年度は各校より委員を募り総勢137名でスタートしました。しかし、コロナにより授業研究が思うように進みそうにありません。そんな中で、全体講師山浦貞一先生ご指導の下に、予習型家庭学習をいかした三密回避の分散授業をどう進めていくか、学校現場の悩みやアイディアを集めその情報をおのおのに参考にしていく取り組みを早々に開始されました。これは国や県はじめ誰もが今直面する現実的・具体的な課題であるとともに、ある意味教育の本質を問う課題かもしれません。

コロナの年、自粛「がまん」の中で、普段考えてもみなかったことを考えてみる。そして「できることをやる」「悩みや成果を参考にしあう」そんな下伊那教育会でありたいと思います。その取り組みは、コロナを過ぎても無駄になることはないと思います。それは、本来のそして次代の学校教育の本質につながる見方や考え方になると思うからです。